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Yoshiaki Nishimura, representative director of Living World.

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Achille Castiglioni

NISH (Living World) 2007-11-17

カスティリオーニ(Castiglioni)をご存じですか?

けっして一般的ではないけど、デザインを学んだり仕事にしている人間にとっては、本当に大切な、みんなのお父さんのような人です。

彼は2002年にこの世を去りました。
その4年前の1998年、僕(西村佳哲)はミラノのスタジオを訪ね、彼を取材する機会を得ました。

その時、通訳をつとめてくれた多木陽介さん(62年生まれ、演出家・写真家、批評家・多木浩二さんの息子さん、ローマ在住)が、カスティリオーニの仕事をくまなくとりあげ、カラー図版も充実した素晴らしい本をAXISから出版します。

アキッレ・カスティリオーニ
自由の探求としてのデザイン

A5判
カラー・モノクロ 304ページ
発行:株式会社アクシス
書店発売日:12/10

ZanottaやFLOSALESSIとの仕事にとどまらず、展覧会やら、街灯や都市計画のデザインまで、縦横無尽な彼の仕事を見事にひろいあげています。
イームズの孫・ディミトリアスによる「イームズ入門(An Eames Primer)」をひらいた時のような納得感を得ました。2,800円と高めだけど、むしろよくこのお値段でできたね!という感じ。
 

先の取材当時、多木さんはデザイナーなんて消費文化の煽動家でしょ…ぐらいのことを思っていたようです。
取材が終わり、スタジオをあとにしながら、彼がすごく驚いていたのを思い出します。「こんなデザイナーもいるんだねえ…!」。

その後、カスティリオーニもお歳を召しました。
数年前、そろそろ危ないかもしれないから…という娘さんの相談を受けて、多木さんはカスティリオーニのスタジオの資料整理、および写真撮影を引き受けることになります。
この仕事は一年で終わらず、途中カスティリオーニが亡くなった後も継続され、いろいろな紆余曲折をへて、ようやく出版に至ったとのこと。
 

98年にお会いした時カスティリオーニは、学生たちに宛てて書いたという、短い手紙を渡してくれました。
多木さんが訳してくれたその手紙は、僕らの宝物です。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

学生達への助言 / Achille Castiglioni

好奇心がないなら、やめた方がいいでしょう。
人々のすることや、彼らの反応に関心がないとしたら、
デザインはあなたの職業ではありません。

世界の発明家になろうとしてはいけませんよ。
そうあってはいけないし、
そういうものではないのです。
アイロニーを持って自分のことを眺め、みずからを批判する能力を養っていくことから始めましょう。
 

流行やスタイル。
もっと悪い場合には、トレミオ(賞)だとか成功。
そうした見地から物事を見ようとしたり、
分類しようとしたり、判断しようとする気持ちから自由になりなさい。

路上の人々や、映画だとかテレビの中に見られる人々のごく日常的な身振りや態度、
当たり前で、誰も目にもとめないようなフォルムを、批評的な目で観察することを学んでください。
何ができるか、新しい何をつくるべきなのかを学ぶためにです。

いいプロジェクトというのは、自分の存在を後世に残そうという野心から生まれるものではない。

あなた達がデザインしたものを使うことになる、誰も知らない見ず知らずのほんの小さな人々と、ある交換をしようと思う、
その気持ちから、いいプロジェクトは生まれるのです。

研究が仕事にとってすべてであるということを、頭に入れておいてください。
作品は、その研究の過程の一つに過ぎません。
一時的なステップであって、それが結果や結論ではないのです。

芸術家による象牙の塔といったコンセプトは、もうすっかり忘れてください。
デザインの作品は、いろんな能力を持った人達の協働による、多くの努力の成果として生まれるものです。テクニカルなこと、インダストリアルなこと、コマーシャルなビジネスのこと、そしてもちろん美的なこと。
各分野における能力を持った多くの人が集まり、力を合わせて出来ていくのです。

ですからデザイナーの仕事とは、こうした集団による表現の作業をまとめていくものだと思ってください。
 

経験は、確かなものを与えてくれるわけではありません。むしろ反対に、ますます失敗をおかす可能性を増やしていくだけ。
時間を経れば経るほど、よりいいデザインをしていくことは難しくなるのです。

それに対する対抗処置は何だろう?
いつもゼロから、研究の気持ちと忍耐力を持って始めることです。

人々の振る舞いの中に誤りを見つけだすこと。
そして、習慣化してしまっている規範を越えていく視点を発見すること。
デザインを前へ進めていくための本当のテーマは、
こうした中に探されるべきだということを、学生たちにわかっていて欲しい。

1997/2/14 
訳:多木陽介

by nish 17 11, 2007

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