2005年3月 ベネッセ創業50周年記念事業「教育へのヴィジョン展」(岡山)でも開催

学校の先生へ:
同じような授業を自分の学校でもやってみたい!と思われたら、ご一報ください。機材貸出などの相談に乗ります。冬以外の季節をお薦めします。

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時間虫めがね ワークショップ

ワークショップ(東京、慶應幼稚舎・2003)

2003年の初夏、慶應義塾幼稚舎の三年生の教室をたずねて、担任の鈴木秀樹先生(写真)とワークショップ型の授業を行いました。
時間旅行展(日本科学未来館)での展示物 「A DAY/生命のリズム」をつくる過程で生まれた小さなアイデアが、この授業の発端です。
 

このワークショップについて:
「A DAY」の制作では、デジカメのインターバル撮影機能に、映像編集ソフトを組み合わせ、 コマ落としの映像をつくりました。

撮影を重ねながら、「これはあたらしい種類の自然観察道具だな」と実感。
ヒトの身体スケールの外にあるモノゴトの観察を可能にする道具に、顕微鏡や天体望遠鏡があります。 それと同じように、これは「時間」のスケールを変えて自然を観察する道具、いわば「時間虫めがね」のようなものだな、と思ったのです。

教室にカメラを持ってゆき、 子どもたちが自分で撮影物を決め、 それを撮り、出来上がった映像を見て気づいたことを自分たちで調べて、互いに発表し合う。
調べものの過程で、図書室や理科の先生など、小学校の様々な資源を活用してもらう。そんな、ワークショップ・スタイルの授業ができないかな、と考えました。

表現力を伸ばすだけでなく、ものごとを深く観察する喜びを共有する。気づきから「問い」をつくり出す力を拓く。
その辺りの話を交わし合いながら、担任の鈴木秀樹先生を軸に進んだ、ミニプロジェクトです。

第一週目:
5/20。慶應幼稚舎3年生のクラスを訪問。手短に挨拶をすませて、展示物制作時のコマ落としの素材映像をいくつか紹介(上:映像)。観ながら気が付いたことを、皆にどんどん発言してもらう。「葉が動いている!」「花に虫がくる」「雲の影がうつっている!」。止まらない。
時間のスケールが変わると、あたり前の風景の中にさまざまな発見が生まれる。

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「みんなも撮影してみよう!  なにを撮る?」。四人づつの班にわかれ、相談開始。

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鈴木先生が配った用紙に、アイデアを3つづつ書き込む。学校の中で撮れるもの。なにを撮ると、なにが見えると思う? 集まったアイデアを先生と相談して、全部で11種類の撮影計画が決まる。

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休み時間や放課後を利用して、さっそく撮影準備開始。彼らはキャベツのプランターを撮影する様子。

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プランター奥の白い壁に要注目。なにも付いていませんよね。後で、ちょっとした発見がありました。

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他の班も、それぞれ撮影開始。 第二週につづく。
 

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第二週目:
5/27。第二週目。みんなが撮影したデータは、LWの手ほどきを受けて鈴木先生が映像ファイルに編集済み(先生は週末返上の大仕事)。各班とも、これからはじめて映像を見ます。

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自分たちが撮影した素材に夢中。映像として何度も見て。次はカーソルキーを押しながら一コマづつ。撮る前には考えもしなかった発見や、わからないことが次々と出はじめる。

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この班はキャベツを撮影。映像には、青虫がすごい早さでムシャムシャ食べている様子が。するとなん匹かの青虫が、プランターの縁を越えてフレームの外へ出ていった。かれらはどこへ?「モンシロチョウ」という図鑑を開いたら、「青虫はサナギになる所を求めて移動する」と書いてあったとか….。

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さっそく、プランターのまわりを探りにいくと、すぐ横の壁に、サナギになった青虫を3匹発見!!

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この班は、ハムスターを観察。「お気に入りの場所がある」「夜に餌をたべている」「なぜあまり水を飲まないの?」「なぜ夜に活動するの?」。

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教室で飼っているカメを撮影。濡れた甲良がシュッと乾く(カメの甲良干し!)。「首がめったに下をむかない」「あれほど首を振り回しても、捻挫しないのはなぜ?」。

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校庭のケヤキを撮影。「なぜ鳥が来ないの?」。彼らは奥の高速道路で、一晩中クルマが走っていることに注目。「なんのために走っているの?」。むずかしいかなーと思いつつ、先生が首都高速道路公団の資料を渡すと、その中から「目的別自動車台数内訳」などのグラフを発見。「これだ!」となったそう。

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教室のクワガタを撮影。「いつも木の下に潜っているけど、この木をどかしたらどうするかな?」という疑問から、木を取り出した状態で、もう一回24時間撮影。

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図書室の24時間を撮影。ほかの生徒の置き忘れに興味を持った彼らは、校内の掃除担当の人のところへ聞き取りに訪ねたそう。

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ナマズを撮影。「夜行性だけど昼もすごく動く」「あくび(?)をした!」。水草を食べているのかなと思っていたら、タニシを食べる瞬間を映像で確認。その後の調べにより、肉食であることを知る。

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東の空を撮影。「月が上に上がってゆくと、だんだん色が薄くなる」「月の下の方が少し赤いのはなぜ?」。

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キュウリのつるを撮影。「太い棒より、細い棒の方に巻き付く」「巻ひげはつかまるものを探して回転している」ことなどに気づく。

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ウナギを撮影。「ふだんは動いていないように見えるけど、実はいっぱい動いている」「夜の12時になっても眠らない」。

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校庭のザイフリボクという木を撮影。「大きくなっているように見えないけれど、本当に成長しているの?」という疑問から、毎日定点観測することになったそう。この日はちょうど保護者会の日。 映像から、何人来たかを数えた人も。

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ねらいは、世界を再発見するきっかけをつくること。自己表現の技術だけでなく、モノゴトをよく観察することの面白さを味わって欲しいと思った。鈴木先生はこれに加え、「問いを発見する」力を養いたい、普段なんの気なしに見ているあたり前のことを問い直せる能力を拓いていきたい、と考えたそう。

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映像をたずさえて、理科の高梨先生に質問へ。このワークショップを学校で開催できたのはとても良かった。専門の先生が、子どもたちと一緒に発見し驚きながら(時には興奮しながら)、学びを拓くことができる。

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図書室のにぎわい。
みんな総がかりで調べ中。本が見つかっても、知りたいことがズバリ書いてあるとは限らない。調べることの難しさが、すこしわかったかな。
第三週へ。
 

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最終日:
6/3。調べ学習を終えた各班は、ほかの班に映像を見せながら、気づいたこと・わかったことを発表します。

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みんなの前での発表に、まだあまり慣れていない彼らは、手元原稿の読み上げいつもより緊張ぎみ。でも、中には原稿を見ずに最後まで話した子もいました。

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最後にもう一度、リビングワールドからも発表。二週間前にカタバミの就眠運動の様子を見たけれど、もし太陽の光が入らない場所に置くと、葉はどう動くだろう?  たった一日の実験だったが、カタバミの中にある生物時計と太陽の運行、その両方の影響が確認できた。でも、駆け足の説明ですこし難しかったかな。

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数日後、みんなは科学未来館に「時間旅行展」を見に来てくれました。 ありがとう!
(写真:鈴木秀樹、リビングワールド)
 

期間: 2003年5月20日~6月3日
企画: リビングワールド
実施: 鈴木秀樹(慶應義塾幼稚舎)+リビングワールド

機材協力: 株式会社リコー(総合デザインセンター 鈴木裕子) 
Special Thanks To: 内田まほろ(Mesci) 籔本晶子(Mesci) 岩井祐介 鈴木二正

 

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