インタビューのワークショップ

ひとの話を「きく」技術と感覚をめぐるワークショップです。2010年頃に始めました。テーマは「きく」ことですが、結果的に「はなす」体験をたくさんできるところもよいな、と思っています。

これまでに2泊3日、通いのマンツーマン形式など、いろいろ試してみましたが、個人的にはこの「5泊6日・12名」形式の納得度がもっとも高い。
年に2度、信州の女神山ライフセンターで開いてきたサイクルを、今年から、夏については遠野に移してみることにしました。(上の写真は女神山 2017年夏の一コマ)
遠野郊外の、田園と森林が出会うゆるやかな傾斜地に、馬と人が暮らす「クィーンズメドゥ・カントリーハウス」という場所があり、森や小川と牧草地に囲まれた心地よい滞在施設があるので、そこで。

私たちは言葉をつかって他人とコミュニケーションをとり、働き、この社会で生きています。が、言葉で表現されていることの大半は「考えた」ことで、それ以外は言葉とはまた別の形であらわされている。
「ひとの話を聞くのが上手い人」と言うと、引き出し方のうまさや、知的な理解力の高さを思い浮かべる人が多いようですが、そういうのが「よくきける」ことなんでしょうか。
僕自身は、引き出しもすれば知的にも理解しますが、それらはごく一部だと感じています。
見えていたのに見ていなかったものが、見えるようになる瞬間は楽しい。聞こえていたのに聞いていなかった音が(声が)、聞こえるようになる瞬間は嬉しい。
「ひとの話」の風景の中をゆく、自然観察というか山歩きのような6日間です。どうぞお越しください。
 
 インタビューのワークショップ 2018・夏の遠野編
 ファシリテーター:
 西村佳哲
 日時 : 2019年5月13日(月)~18日(土)
      集合 5/13 13:05(JR釜石線 遠野駅改札のそと)

      解散 5/18 15:00頃(遠野駅)
 場所 : クイーンズメドゥ・カントリーハウス
 参加費: 58,000円 +宿泊費61,100円(食費・税込)
      └ 宿泊費は現地精算
 定員 : 9名
 
 持ち物:・筆記用具、クリップボード


     ・ICレコーダー(ないしテープレコーダー)


      +ヘッドフォンorイヤホン


     ・その他、宿泊用品など

◎お申込み方法:
以下の事項をメールでお送りください。先着順で受け付けます。
*キャンセル待ち受付中(2019/1/8)
 ・お名前:

 ・連絡用メールアドレス:(複数可)

 ・連絡用電話番号:

 ・ご住所:

 ・ご年齢:

 ・性別:

 ・お仕事・専攻など:(差し支えのない範囲で結構です)

 ・お申込みの動機:(必須、ただし選考用途ではありません)
 送付先: 1905tohno@livingworld.net

 
◎お申込み完了までの流れ:
・申込者には、催行人数に達し次第ご連絡さしあげます。その後、数日以内に参加費をお振り込みいただき、確認をもって参加申込みの完了となります。
・全日程の参加が前提です。

 
きくこと、について
(2017年7月に書いた、冬編の告知文より)
ひとは光源で、話は光のようだなと思います。回り込んでくる柔らかい光もあれば、エッジをくっきりさせる光もあり、灯火のように揺らぐ光もあり。
その光は自分の耳に届き、胸に届き、きき手の世界に射し込んでくる。
光源を、その造形で捉える人も多い。照明器具の色や形として。その好き嫌いで。
いやそうじゃなくて、光そのものを捉えてみない?
人は「話して」いるようで、実は「うたって」いると思う。多くの人は、その歌詞の方に気をとられている。
うたにはメロディがあるし、さらに、その日のうたいっぷりがある。
内容は昔話や18番エピソードだったとしても、「うたい方」には、いまこの瞬間の、いちばんあたらしい本人がいる。そこで出会ってゆくと、別々の人生を辿っていた二人が〝いま・一緒に・いる〟ことが可能になる。
これは小さな冒険のようだな、と思う。

 
クィーンズメドゥ・カントリーハウスについて
ひとの居場所をつくる』(筑摩書房・2013年)の執筆を通じ、僕は田瀬理夫さんというランドスケープデザイナーと知り合い、彼が十数年前に仲間たちと拓き、育ててきたこの場所に出会いました。以来、年に何度か足を運んでいます。
田瀬さんは、フランクロイド・ライトの「タリアセン」のようなイメージでここを計画した気配があります。(下はタリアセン・ウェスト)

7月の滞在の主題は「インタビューのワークショップ」ですが、僕はここを訪れるたび「森や傾斜地はこう拓けばいいのか」「道はこうつくればいいのか」「草地はこう管理すればいいんだ」「窓はこんなふうに景色を切り取るんだな」といった事々を学びます。
贅沢な材料は使われていないし、宿としても「清潔で、心地良い」というきわめて基本的なあり方ですが、よい空間経験は一つの基準値を自分の中に残します。そこも一緒に楽しめれば。

車で30分ほど上がると荒川高原牧場があり、夏の間あげられている遠野一帯の馬(雌馬と仔馬)が、くつろいで過ごしています。その景色の中にも足を運びたい。馬からも教わることがある、と思っています。 🙂

 
「きく」ことにつながる西村の本を、3冊選んでみると…
かかわり方のまなび方』(2011)
みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(2010)
自分をいかして生きる』(2009)

 

by 2019年3月7日