title image

Schooling Padへ

08-12-21

西村佳哲

元IDEEの黒崎輝男さんから連絡があり、彼が池尻の世田谷ものづくり学校(IID)で近年とりくんでいる、「スクーリングパッド」という学校へ行ってきた。
30名ぐらいの学生、というか第七期メンバーのみなさんの前で、仕事や働き方をめぐって最近考えるところを話し、つづいて彼らのプレゼンを聞き、ところどころ勝手なコメントを述べて帰ってきた。

実感レベルの満足感、いいかえると充実感を軸にして生きてゆくことと、
キャリアや見た目や収入とか、記号的な充足感を軸にして生きてゆくこと。
これを二極対立的に考えたくはないが、最近若い人たちと話していると「充実感もお金も」と語る人がやや多く、ちょっとひっかかってしまう。

「お金もある程度ないと」という言葉や、「不自由しない程度にお金も欲しいし」といった言葉に出会うと、やや応答に困る。
まったくその通りだとも思うが、程度というぐらいだから、その十分・不十分をめぐる尺度は人によって違うわけで、つまりこうした発言は、限りなく独り言に近いとも言える。

Schooling Padで、そういう言葉にたくさん出会ったわけではないが…、いやあったな。
黒崎さんは彼の理想をバーッと喋って、「それでお金もちゃんと稼いで」という一言を添えることが多かった。
 

「お金も」という言葉は、どこから来るのだろう?

不自由はしたくない、ということ。
惨めな暮らしはしたくないということか。

欲しいものは買える自分でいたい、とか。

いまの人間関係・人づきあいを持続できる程度の生活資金は欠かせない、ということだろうか。

人間関係は死ぬまでつづく大仕事で、その維持は、世代を問わず優先順位の高い事項だと思う。
でも、もし「お金も」という言葉がそこから来ているのなら、お金以外の媒体でもそれを育て・維持することは可能だ。

先日、シブヤ大学のキュレーションをしている近藤ナオさんに会った。
彼はいま全国各地で、シブヤ大学のシステムの拡大再生産(というと聞こえが悪いな…)に奔走している。いろいろな街、地域から相談が来るらしい。
京都カラスマ大学という姉妹校が先月誕生したばかりで、その他にも新潟とか、随所で話が進行しているようだ。

全国に同じフォーマットで運用されているシミン大学が出来たとしたら、それは素敵なことだと思う。そのネットワークを通じて、さらにいろいろなことが出来るだろう。

近藤さんは、ひとつ立ち上げるまでに、ものすごい数の人、しかも地域のキーパーソンに会うことになるという。
そこで生まれた新しい人間関係を振り返りながら、彼が「急にメインの職を失っても、自分と自分の家族はなんらかの方法で食べていけるだろうという安心感が、最近はあるんですよね」と話していた。

関係性という資産を、彼は育んでいるわけです。まあ、狙ってというよりたまたま、成り行きでかもしれないが。

関係資産は、仕事や働くことを通じて育むことができる。近藤さんは、その一例だろう。
逆にいうと、関係性を育めないような仕事や働き方には、どこか問題があるんじゃないかと思う。
そもそも主にお金のために、かつ言われたことを言われたとおりにやることは仕事だろうか。僕のニュアンスでは、それは仕事というより労働だ。
 

地域などの共同体社会では、一人ひとりの関係資産が形成されやすいが、縛りもきつい。
都市型の社会ではそれをご破算にして、かわりに金銭的な資産形成を是としてきたわけだが、「お金も」と思わず口にする若手たちには、「お金もいいけど要は関係ちゃうか?」と言いたい。
でも言わない。(話が長くなるから)

私たちはこの期に及んで、あらためてコミュニケーションの技術やセンスの育成を必要としていると思うのだけど、自己表現の上手な人になるとか、そういうこと。つまり、どう外部と自分を関係づけるかじゃないだろう、という思いがある。

表現力より、味わう力の方が大切なんだよなあ…ということを思う。
とくに関係性という領域においては。
 

そんなつもりもなく書いていたのだが(本当に)、昨日、あたらしい砂時計をウェブで発表した。
関係性が育まれる時間

リビングワールドの商品の多くは、僕(西村佳哲)が思い付いて、それを妻であり永福四丁目のデザインの巨匠・たりほさんに打ち明け、時に即却下され、時に盛り上がったりしながら、最初の思い付きから何年か後に発表している。
時間をかけて丁寧につくっている、という言い方も出来るが、ふたりしかいないので単純に時間がかかっているという側面も大きい。

この砂時計を思い付いたのは、たりほさんの方。
展覧会で「これがいちばん好き!」という人がかなり多くいらっしゃって、最初につくってから三年半経って、このたび商品のラインナップに加わりました。

たりほさんは、こんな人です。

nish_081221_02.jpg

サーフィンで出かけた種子島のホットドック・スタンドにて(ここ美味しい/島の南にある)。右は僕ではなくお店の人。

nish_081221_01.JPG

同じく種子島の宇宙センターにて。ジャンプ力もある!

thumbnail image 消防署のゆうびん君

ぱちくりマツゲで、白目をムキっ〜っとしてるのはっ!

thumbnail image 100人の子どもが生まれる時間

宇宙の星々が消えてゆくのと同時に、つぎつぎと子どもたちが…
◎¥8,400
カートに入れる

thumbnail image 「4分33秒」という沈黙の楽曲

ジョン・ケージが1952年に発表した、演奏のない音楽…
◎¥11,550
カートに入れる

thumbnail image 干し蛸

聖なる干し蛸 チュニジア マトマタ

thumbnail image

くっついてるの〜?